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平安女子も憧れる?わらしべ長者発祥の寺【長谷寺】|Hasedera|十一面観世音菩薩に会いにゆく

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こんばんわー
【ブッダ巡礼】のお時間がやって参りました

みなさんは「わらしべ長者」の物語はご存知ですか?
有名な昔話としてご存知の方も多いと思います(^^)
昔、昔ある所に貧乏な男がおりました。働けども働けども銭は無く一向に暮らし良くならず・・
って、それ・・・オレじゃねーかっ・・!と思いますけれども^^;
令和のこの日本でも、格差が拡大し私と同じような思いを持っておられる方もいらっしゃるのではないでしょうか・・・。
そんな貧乏な男が、足繁く通うお寺の観音様に願いを掛け続けたある日、偶然手にした一本の藁しべから物々交換を繰り返し、やがて大金持ちになるお話でしたよね。

藁にもすがる思いで・・なんて言葉もありますが・・・
深層心理の中でそうした想いが私にもあるんだと思います^^;最近すっかり仏像にハマってしまった筆者が仏像を巡る【ブッダ巡礼】
今回は「わらしべ長者」の舞台であるお寺、奈良県桜井市の【長谷寺】を訪れます。

長谷寺の縁起

長谷寺の創建は朱鳥元年(686)年!
道明上人が天武天皇の病気回復を祈願して、現在の五重塔のある付近に「銅板法華説相図」を安置したのがはじまりと言われています。

ここが長谷寺のはじまりとして「本長谷寺」(もとはせでら)と呼ぶそうです。
後の神亀四年(727)に道明上人の弟子の徳道上人が、聖武天皇の勅願によってご本尊【十一面観世音菩薩】をお祀りしました。

この徳道上人のエピソードがまた面白く、
ある時徳道上人は急病で亡くなりましたが、冥土で閻魔大王に会います。そこで
「悪行により地獄へ送られて来る者が多い。観音霊場へ詣でることで功徳が得られるよう、33の霊場を開いて観音菩薩の慈悲を説け」
とのお告げを受け現世に戻されたというのです。

観音信仰に篤い徳道上人は「西国三十三所観音霊場」を開かれた大徳として知られ、長谷寺がその根本道場と呼ばれる由縁です。
ちなみにこの「33」という数字は、観音菩薩が33の姿にカタチを変え人々を救うという事に由来しているそうです。

階段を登り入山受付を済ませると、眼前に大きな仁王門がドーンと構えていました。
上部には鳳凰や龍等の彫刻が施された立派な長谷寺の総門。
ニ階部分には釈迦三尊像と十六羅漢像が安置されているらしく、これも見てみたいものです・・!

仁王門をくぐると、本堂へと続く登廊が伸びています!
これはまた風情がありますね~!

この上から吊るされている灯籠は「長谷型灯籠」よ呼ぶらしく、カボチャのようなふんわりとした優しげなカタチをしていました。

途中から登廊は右に折れます

この石段は399段ということで・・・
数えながら登ってみましたが、私が数えた数は「397」でした・・!
どこを踏み外したんでしょう・・・^^;

石段を登り切った所が鐘楼になっていて、「尾上の鐘」というそうです。
ここで僧侶の方がホラ貝を吹く儀式があるそうで、古から続くその様子を見て見たいものですね。

さて、鐘楼の脇が国宝の本堂です!
礼堂の南側が見晴らしの良い「舞台」になっているようですので、行ってみましょう。

あ、ほんとだ・・。舞台の脚が清水寺と同じような造りになっています!
懸造りと言うのでしょうか・・・。

おお~~・・・!舞台や!笑

本堂の南に付き出た舞台からは、初瀬の谷が眺望出来ました。

凄いですね・・こういう舞台は清水寺以外にもあったんですね・・・^^;

舞台から見た本堂。(国宝)

この礼堂の奥、中央部にご本尊である【十一面観世音菩薩立像】が祀られており、多くの方々が手を合わせていました。

あっ・・・!!!
舞台から・・・み・・見えました・・(゜゜)!!!

おおおおお・・・・・・!!!
す・・すごい迫力です・・・!!
遠目にもその巨大さが分かるというものです・・・!

日本最大級の木造仏は金閣寺とほぼ同じ大きさ!

そんな徳道上人が祀った【十一面観世音菩薩立像】(重文)はなんと大きさが10m18cm!台座まで入れると実に12mもある巨大な仏様です!
これは「金閣寺」とほぼ同じ高さになるそうです・・!
あるいは鎌倉の大仏が約13mくらいだっと思いますので、それ相応の高さの観音様がお堂の中に祀られていることになりますね・・・。

長谷寺パンフ参照

この日本最大の木造仏である【十一面観世音菩薩立像】は、はるか古、近江国高島の湖岸に流れ着いた楠の巨木で造られたのだそうです。
この巨木で仏像を造ろうと大和国まで曳いて来ましたが、木の祟りによって村人たちが死んでいきました・・・。
この祟りを恐れて村人たちは初瀬川のほとりまで曳いて打ち捨ててしまいます。
この噂を聞いた徳道上人はその霊力に着目し霊木を拝み、十一面観世音菩薩を造ろうと初瀬の谷に移しました。
やがて聖武天皇の協力を得て十一面観世音菩薩の造立に漕ぎ付け、夢の中で「北の峰の大盤石に上に安置せよ」とのお告げを受け、現在の場所に祀られることになったそうです。

長谷寺の十一面観世音立像の面白さは、その巨大のみならず、手にしているものや足元にもあるので注目してみてください。
観音様の右手に持っているものは「錫丈」。お地蔵様がよく手にしているあれですね。
そして立っている場所は蓮華の台座ではなく、「大盤石」という大きな岩の上。
これは観音様が仏の世界ではなく、私たちの住む世界に降りて来ていることを表しているといわれ、観音様の右足が少し前に出ているところからも「私たちの所に歩んで」来てくれていることを示しているのかも知れません。
錫丈を持ち私たちの所へ歩いて救いに来てくれている、そんなお姿を感じ取れると思います!

触れることができる仏像

そして長谷寺のこちらの観音様には、なんと触れることが出来るのです・・!

春と秋の特別拝観時には、本堂内の観音様が立っておられる内部に入ってそのお足下から拝観出来るのです!
上、長谷寺のパンフにある写真がその様子ですね。
先ほど触れました、観音様が立脚されている「大盤石」も見れますし、そして驚く事に観音様の足に触れることが出来るのです・・!
今回私が訪れた時は特別拝観の期間では無かった為、残念ながら観音様に触れる事は出来なかったのですが・・多くの参拝者が願いを込めて撫でる為、その足はピカピカに光っているそうです。
特別拝観期間で無くとも、法要を申し込んでおられる方は内部に案内されていましたので、お出掛けの際にお寺に確認してみるとよろしいかと思います(^^)

脇侍には「雨宝童子立像」・「難陀龍王立像」

十一面観世音菩薩の左右に立つ「脇侍」には、向かって左に「雨宝童子立像」右には「難陀龍王立像」が本尊を見守っています。
両方とも重文ですが、「雨宝童子立像」(赤精童子立像)に関しては天照大神の化身とも言われているそうです!
これはまさに神仏習合が具現化されているものですよね!
「難陀龍王立像」はいわゆる閻魔大王のそれに非常に良く似ていました。玉眼が使われていることから、鎌倉時代のものということになりましょうか。
こうした脇侍もひとつの見所ですね。

「わらしべ長者」が篤く信仰していた長谷寺の「十一面観世音菩薩」

さて、「わらしべ長者」のお話に戻りましょう(^^)
わらしべ一本から長者となった貧乏な男は、まさしくこの【十一面観世音菩薩】を篤く信仰し足繁く参拝を繰り返し行っていたのでありました!
来る日も来る日も長谷寺へ通い、十一面観世音菩薩様へ祈りを捧げていたのです。
そんなある日、「寺から出る時に最初に手に触れたものを大事に持って旅に出よ」というお告げを受け、寺から出る時に石につまづいて転び、その時偶然に一本のわらしべが手に触れたのでありました。
わらしべから交換していく物は話によっていくつかあるようですが、最終的に大金持ちになるお話ですよね。
そんな有名な「昔話」の舞台がここ、奈良の長谷寺だったんですね(^^)

ちなみに平安時代になると「観音様にお参りすれば願いが叶う」という信仰が広まり、「初瀬詣」と称され人気となったそうです。
平安時代には女性たちが憧れの「初瀬詣」に訪れ、数日間お堂に籠って観音様の足元に平伏しお告げがあるのを待っていたそうです。

そんな平安時代の女性たちの願う心を想いを致しながら、礼堂の向こうに広がる初瀬の谷を眺望していると、何やら「そのままでいいんだよ」という天からの声が聴こえてくるような気がして・・・とても不思議な気持ちになるのでありました・・。

愛染明王像の何も持たない手に、あなたは何を見る?

この他にも、境内に「愛染堂」というお堂もあり、江戸時代のもととされる「愛染明王像」が祀られていました

江戸期のものからか、色彩が非常に鮮やかで赤が際立って非常にインパクトがあります・・!

腕がたくさんある「愛染明王像」ですが、向かって右の一番上の手には何も持っていません。
これは、人々の願いは千差万別でその願いによって物ものが変わるから、と言われているそうです。
私には何も見えませんでしたが・・・煩悩の狭間で右往左往しながら俗にまみれて生きている証拠でしょうか・・・^^;
さて、あなたには愛染明王の右上の手には何が見えましたか?

おわりに

と、いうことで今回の【ブッダ巡礼】は「わらしべ長者」発祥の寺、奈良県桜井市の「長谷寺」を訪れました。
わらしべ長者も、平安女子も篤く信仰したという巨大な【十一面観世音菩薩立像】は圧巻でした・・!
歴史あるそのお寺の佇まいも素晴らしいのは言うまでもありませんが、今に伝わる昔話や、ちょっとした蘊蓄を携えて参拝するとその楽しみも広がるような気がします(^^)

古の先人たちに想いをいたしながら、みなさまも参拝を楽しまれてみてはいかがでしょうか。

今回もお付き合いいただき、ありがとうございました。

入山時間 8:30~17:00(4月~9月)
     9:00~17:00(10月~11月・3月)
     9:00~16:30(12月~2月)
入山料  中学生以上500円 小学生250円
     団体30名以上 大人450円 中高生350円 小学生200円
駐車場  普通車500円 二輪車200円